退去費用とは
オフィス移転時の退去費用とは大きくわけて下記の2つの費用があります。
①原状回復費用
②二重賃料
それではそれぞれについて解説していきます。
①原状回復費用
原状回復とは、本来オフィスを退去するにあたって、現在使用しているオフィスの内装や設備を元の状態に戻し、借りた当初の状態でビルオーナー側に返すことを言います。
原状回復費用の相場としては、小・中規模オフィスの場合1坪あたり2~5万円
大規模オフィスの場合1坪当たり5〜10万円程度と言われています。
②二重賃料
二重賃料とは退去通知を出してから実際に退去するまでの間にかかる解約予告期間のことです。住居賃貸であれば退去前の解約通知を1〜2ヶ月前に提出するのですが、オフィスの場合は基本的に6ヵ月前には解約通知を提出しなければなりません。
そのためその間の賃料は払い続けなければならないのです。
例えば都内で50坪のオフィスから移転する場合、退去費用だけでも850万円はかかる試算となります。原状回復費用と二重賃料の支払に関しては入居者がオーナー側に必ず支払わなければなりません。
居抜きを利用して退去費用を節約
退去費用を節約するためには、いくつか方法の1つに「居抜き」があります。
ここからは、居抜きについてメリットやデメリットを交えて解説します。
居抜きとは
居抜きオフィスとは、前のテナントが使用していたオフィス家具やレイアウトをそのままの状態で次のテナントに貸し出すオフィスのことを指します。
通常、オフィスを退去する際には借りた当初の状態に戻す「原状回復」が必要です。しかし、居抜きオフィスの場合はその必要がありません。次の入居者が、そのままの状態のオフィスを引き継ぐことになります。
この方法を利用することで、退去時にかかる原状回復費用を大幅に抑えることができます。また、新たに入居する企業にとっても、既存の設備をそのまま使用できるため、初期費用を削減できるというメリットがあります。
居抜きのメリット・デメリット
メリット
引越しコスト削減
現在使っているオフィスの設備や内装を引き継いでもらうことで、新しいオフィスへの引越しコストを削減できます。特に、大型のオフィス家具や特定の設備については、処分費用もかかるため、居抜きで次のテナントに譲ることは経済的なメリットがあります。
短期間での移転
既存の設備をそのまま引き渡すため、撤去や清掃の手間が省けます。結果として、移転作業の時間を短縮でき、新しいオフィスでの業務開始がスムーズに行えます。
デメリット
制約のある条件交渉
新しい借主が自分たちの設備をそのまま利用できるとは限りません。借主のニーズに合わせた条件交渉が必要になるため、合意に至らないリスクがあります。
設備の老朽化リスク
現在利用しているオフィスの設備や家具が古い場合、新しい借主に引き継ぐ前に修繕やメンテナンスが必要になることがあります。これにより、追加コストが発生する可能性があります。
まとめ
このコラムでは、オフィス移転に伴う大きな負担となる退去費用を抑える方法として、「居抜き」について解説しました。
従来のオフィス移転では、高額な原状回復費用や二重賃料が避けられませんでした。しかし、居抜きを利用することで、これらの費用を大幅に削減できる可能性があります。
居抜きには、移転コスト削減や移転期間短縮といったメリットがある一方、条件交渉の難航や設備の老朽化といったリスクも存在します。
そのため、居抜き物件の利用を検討する際は、メリットだけでなくデメリットも十分に理解した上で、自社の状況に合わせて慎重に判断することが重要です。
もし、既存の設備や内装を有効活用できる可能性があり、コスト削減を重視するのであれば、居抜きは有効な選択肢となり得るので検討してみてはいかがでしょうか。