目次
小規模オフィスとは?
はじめに「小規模オフィス」とは、どのぐらいの規模のオフィスなのかを説明します。
<小規模オフィス>
ワンルームや2・3部屋で構成されるオフィスで、従業員数は10人未満ほどのオフィスを総称して「小規模オフィス」と呼んでいます。
同じ意味合いで「スモールオフィス」と呼ばれることもあります。
坪数に関しても定義はありませんが、10人未満のオフィスで考えると概ね「30坪未満」を小規模オフィスと表現しています。同じオフィス空間でも、会議室を広くとったり部屋数を増やすと執務室は広さを確保できず席数が4-5席と少なくなります。反対に会議室を小さくすることで執務室に8-10席を確保したりとレイアウトによっても大きく変化します。
弁護士事務所などの個人士業事務所や、少人数の企業や支社・サテライトオフィス、スタートアップ企業やベンチャー企業など、さまざまな形態の企業で利用されています。
近年、多様な企業形態が登場する中で、小規模でも十分に機能するオフィス形態として、小規模オフィスの需要が増加傾向にあります。
小規模オフィスのレイアウト3つのポイント
小規模なオフィスでも、ポイントを押さえてレイアウトを考えることで快適なオフィス空間をつくることができます。
ここからは、レイアウトを考える上で大切なポイントを4つ紹介します。
レイアウトに必要な要件をまとめる
小規模オフィスでは、余剰なスペースがないため、レイアウトの要件をあらかじめまとめておくことが大切です。席数や会議室の有無はもちろんのこと、デスクのサイズもレイアウトに大きく影響を及ぼします。「書類を多く広げる」「複数のモニターを利用する」など、業務内容によっては大きめのデスクを採用した方が快適に業務を行えます。
その他にも、収納スペースの確保、動線の確保、OA機器の設置場所なども考慮する必要があります。限られたスペースを有効活用するため、事前に綿密な計画を立て、快適なオフィス環境を実現しましょう。
キャビネットなどは縦に積む
レイアウトは平面で考えますが、実際のオフィスでは高さを利用することが可能です。
例えば、書類を保管するキャビネットは、一般的に「ローキャビネット」と呼ばれる高さ1m程度の3段書庫と、ハイキャビネットと呼ばれる5〜6段書庫に分けられます。
スペースを有効活用するのであれば、ローキャビネットを複数台設置するより、面積効率を上げるためハイキャビネットを使って縦に収納量を確保する方が良いでしょう。
他にも、デスクの下にワゴンを入れたり、プリンターの下にラックを設置して用紙やトナーを収納することも工夫の1つです。
小規模オフィスでは、スペースを有効に使うためにも平面的に広げずに高さ方向に広がるような「縦に積む収納」を検討すると良いでしょう。
レイアウトの工夫でデッドスペース無くす
小規模オフィスは限られたスペースをいかに効率よく利用するかがポイントになります。
レイアウトの工夫で意外と簡単にデッドスペースを解消することができる場合があります。
廊下や通路は、人や物の移動には必要な空間ですが、小規模オフィスでは大きく確保してしまうと他のスペースが小さくなってしまいます。
間仕切や扉位置を変えたり、オフィス家具のレイアウトを変えたり動線をずらしたりするだけで通路の幅や長さを短縮することが考えられます。
オフィス空間を有効活用するためには、レイアウトをしっかりと計画してデッドスペースを無くすことが大切です。
小規模オフィスのメリットとデメリット
小規模オフィスのメリット
計画進行が早い
大規模なオフィスに比べて、レイアウトの作成・内装デザインやオフィス家具選定など全てのボリュームが少なくなるので、制作に必要とする時間を大幅に短縮することができます。
また、小規模オフィスでは工事量も少なくなるため、オフィス完工までの期間を短くすることが出来ます。
その分初めてのオフィス計画で、慣れない部分や分からない点もじっくり打合せをして考える時間を取れることも大きなメリットとしてあげられます。
テナント賃料をおさえられる
小規模のオフィス(20坪〜30坪程度)ならフロアの面積が小さい分、大規模な物件と比べて賃料を低くおさえることができます。
従業員数や出社率に応じた小規模のオフィスにすることで、同じ事業を行っていても会社の支出をコントロールすることに繋がります。
企業にとって固定費を低くできることは、健全な経営に繋がるのでこちらも大きなメリットになります。
円滑なコミュニケーションがとれるレイアウト
仕事をする上で欠かせないのが仲間とのコミュニケーションです。
小規模オフィスだと、メンバーの距離も近く感じることが多くなることから、自然なコミュニケーションが生まれやすい特徴があります。
部署の垣根を越えた偶発的なコミュニケーションから新しい発想が生まれることも考えられます。
大規模なオフィスであれば、フリーアドレス席を採用しない限り部署単位で固まったレイアウトになりがちですので、小規模オフィスはコミュニケーションがとりやすいレイアウトといえます。
オフィスの設備が最小限で済む
小規模オフィスは当然フロアの面積が小さいので、必要な設備やオフィス家具も少なく最小限での対応が可能です。
スタートアップ企業などは、オフィス作りにコストをかけれないことも多いので、まずは最低限の設備が整えば業務が行えることはメリットにつながります。
初期投資を抑えられるので、オフィス開設のハードルが下がります。
シンプルな動線で高い業務効率
オフィスは、レイアウトの違いで働きやすさや業務効率が変化します。
小規模オフィスの場合は、デスクからプリンターやキャビネットまでの距離が、必然と短くなるレイアウトを採用することになります。しかし、大規模オフィスになれば規模に合わせてプリンターの数を増やすことは可能ですが、必要以上に設置してはコストアップに繋がるので、どうしても動線を短くするには限界があります。
シンプルかつ最短動線で効率よく業務を行えることは、小規模オフィスの大きなメリットと言えます。
小規模オフィスのデメリット
小規模オフィスのレイアウトは難しい
オフィスは、物件によって長方形やL字など様々な空間があります。
さらに小規模となると限られたスペースの中で、効率的にデスクやキャビネットを配置しなければなりません。同じオフィスでも、レイアウトが悪いととても使いづらい空間になります。
小規模オフィスになるほどレイアウトを考える空間デザイナーの腕が試されます。
オフィスは、1日の多くの時間を過ごす場所です。専門知識のある業者と一緒にレイアウト計画をすることでデメリットを無くすことが大切です。
拡張性が低い
小規模オフィスのレイアウトは、大規模オフィスとは異なり拡張性に限界があります。
オフィス移転の理由で上位を占めるのは、「事業拡大」や「従業員数の増加」です。
保管書類が増えたり、必要な機器を置いたり、商談頻度が多くなったりと事業が拡大するに比例して必要な設備やスペースも増えます。
従業員が増えるとデスクやロッカーの拡張も同時に発生する為、オフィスが手狭になる事は避けられません。
事業計画をしていても、思いがけない変化が発生する事も十分あります。移転や開設したての新しいオフィスをすぐに移転してしまうのは新たな費用が発生してしまいます。
小規模オフィスを採用する場合でも、将来の拡張を見据えた計画と、工夫を凝らした運用を考えておくと良いでしょう。
小規模オフィスに向いてる企業とは?
スタートアップ企業やベンチャー企業
小規模オフィスを検討される企業様で最も多い割合を占めます。
初期段階では、まだ従業員数が少ないことや開設までの初期費用をできるだけ抑えたい企業様にはおすすめです。
イニシャルコスト・ランニングコスト共に、コスト的に大きなリスクを避けて開設のハードルを下げられる為、検討を進められる企業が増えています。
セットアップオフィスとは異なり、いちからオフィスを作るので企業の特色も出すことができます。
弁護士事務所など士業事務所
独立されて個人事務所を開設される場合、最初のオフィスは小規模になるケースが大半です。
シェアオフィスやレンタルオフィスも、初期費用をおさえることが出来るので人気はありますが、士業事務所は機密情報の扱いやご依頼者様が安心して来所できる空間を作る必要があります。専門知識のある業者と一緒に内装やレイアウト・防音性を考えることでよりご依頼者様が安心できるオフィス作りが可能です。
来社の頻度の高い企業
商談や新人採用面接などを多く行う企業ではアクセスの良さが肝心です。
大切なお客様が来社されたり、逆に従業員が外出する頻度が多い場合は駅の近くなど立地のよさが求められます。
ただ、そのような好立地はテナント賃料が高額になりがちで固定費を考えると負担が大きくなります。
しかし、小規模オフィスであれば好立地でも比較的賃料をおさえて契約することが可能です。
一般的にはなかなか手の届かない立地でも、小規模オフィスなら実現できる可能性があります。
サテライトオフィス
サテライトオフィスは、本社と別にオフィスを構えてワーケーションやイベントなどの用途で設置されるオフィスですが、郊外や駅から離れた地域にはまだまだオフィステナントが余っているケースがあります。
各地に複数の小さな拠点を構えて、事業拡大や従業員に対する職場環境を高めるような使い方をすることも可能です。
近年では働き方改革や新たな試みとして小規模のサテライトオフィスを取り入れる企業が増えています。
小規模オフィスならではの工夫“3選”
デザインするポイントを絞って費用をおさえる
オフィスは、デザイン性を高めると必然的に内装工事が増えるため費用も高くなります。
小規模オフィスの場合は、内装工事の面積そのものは小さいですが、移転や開設時の費用はおさえたいと考えられている方も多いのではないでしょうか。
そのような場合は、執務室はあまり手を加えずシンプルにまとめて、お客様が目にするエントランスや会議室はデザイン性を高めるなどの工夫を行い費用をおさえることがおすすめです。
合わせて読みたいコラム
色やレイアウトで「窮屈感」「圧迫感」の解消
小規模オフィスの悩みは、面積の狭さから来る「窮屈感」や「圧迫感」です。
毎日使うオフィスでは、これらの不快感はできるだけ感じたくないものです。
インテリアコーディネーターや内装プランナーの分野でよく言われることですが、これらの問題は視覚的・心理的に軽減させることが可能です。
窓付近に背の高い家具を置くと気持ちの良い光を遮ってしまうことになり、心理的健康が害されることがあります。
また色使いの点でも、黒色や濃い色を多用した空間は「固い」「重厚感」のイメージが強まることに対して、白色や薄い色を使えば「やわらかい」「軽快」といった印象を持ちやすく視覚的にも明るい気分になります。
内装材や家具の選定により、その空間を使う人の精神状態にも影響がある為、工夫1つで居心地の良さは大きく変化させることができます。
小規模でもフリーアドレス席の導入
最近の傾向として在宅勤務やテレワークの導入、サテライトオフィスの併用など働き方が多種多様になりました。
在宅勤務や社外業務が多い業務形態であれば、固定席が常に埋まっている状態とは限りません。
そのような場合は、フリーアドレス席を採用することで座席数を減らすことも可能です。
一般的には従業員数の1.5〜2倍の座席数を確保することが前提となりますが、小規模オフィスのように、限られたスペースを最大限に有効活用するには運用面を工夫することも大切です。
オフィスの施工事例
スペースを有効活用するため、あえてエントランスとして空間は大きく取らずに会議室の横にある壁面にデザインとサインを施しました。
来客があまり多くない企業であれば大きなエントランスを設置する必要がないので、オフィスの利用に合わせたデザインが重要なポイントになります。
まとめ
近年はテレワークなど働き方も多様化しているので、従業員全員分の座席を確保する必要がなくなるケースも増えてきました。それに合わせて小規模オフィスに縮小移転することも増えています。
レイアウトも小規模オフィスに合わせて工夫をすることでより快適な空間作りをすることが可能です。
最後にポイントをおさらいしていきましょう。
●小規模オフィスを検討する際には注意点やポイントをおえた計画が必要
●コミュニケーションが取りやすいなどのメリットがある
●レイアウトやオフィス家具の工夫でスペースを有効活用できる
●スタートアップ企業やベンチャー企業におすすめ
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