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防災とBCPの2本立て
企業防災は防災とBCPの2つが必要になります。 BCPとは事業継続計画のことで、企業が災害やテロなどの緊急事態時に損害を最小限にとどめ、早期回復を可能とするための方法や手段を取り決めておくことです。
企業は労働契約法の第5条「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」により、従業員の安全を守る義務があります。
自然災害時に会社にいたからといって身の安全は自己責任では?と思う方もいるかもしれませんが、東日本大震災時には企業の責任が問われた判決も出ていますので、出来る限りの準備はしておくことが大切です。
何を準備すればいいの?
まずは災害用の備蓄用品から始めましょう。各都道府県では自然災害に備えたガイドラインが策定されており、それを元に備蓄用品を準備するのがおすすめです。今回は大阪府のガイドライン(事業所における「一斉帰宅の抑制」対策ガイドライン)をもとに、ガイドラインで決められているものとあれば便利なものを併せてご紹介します。
ガイドラインで決められているもの
ガイドライン上で決められているものは災害後3日間程度の備蓄用品を準備することで、最低限用意するべきものは以下の通りです。
・水→1人当たり1日3ℓ、計9ℓ
・主食→1人当たり3食、計9食
・毛布→1人当たり1枚
水はキャップがついているペットボトルに入ったタイプが便利です。主食はアルファ化米、クラッカー、乾パン、カップ麺などすぐに食べられるものがいいでしょう。ただし消費期限が超えないように、こまめにチェックするようにしてください。毛布は防寒だけでなく、ちょっとした目隠しにも使えますので、余分に用意しておいてもいいかもしれません。
ガイドライン上必要ではないが、あると便利なもの
ガイドラインでは備蓄するよう決められていませんが、あると便利なものをご紹介します。個人のデスク上に災害用バックとしてもおいてもいいかもしれませんね。
・簡易トイレ
→内閣府による「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると1人当たりの排泄行為は1日5回とされています。
・携帯ラジオ
→携帯電話が繋がらなくなったときに便利です。
・懐中電灯(+乾電池)
→電気が止まった際にあると便利です。
・医療用医薬品
→鎮痛剤や包帯など、ケガをした際にあると便利です。
・調理器具
→携帯用ガスコンロやお鍋等あれば簡単な調理ができます。缶詰などのおかずもあるといいでしょう。
・ヘルメット
→1人1つ個人デスク上に置いておくと便利です。折り畳み式のものがおすすめです。
・軍手
→1人1セット個人デスク上に置いておくと便利です。
・運動靴
→女性の場合は、災害時にヒール靴で歩くのは危険ですので、個人デスクに準備しておきましょう。
・常備薬
→特に持病がある方は個人デスクに準備しておきましょう。
・携帯電話用電源
→電気が止まった場合を考えて、電池で動くタイプがいいでしょう。
備蓄品以外にこんなことも必要です
防災は備蓄品を用意する以外にも、準備しておかなければいけないことや準備しておいたほうがいいことなどがあります。必ずしなければいけないことは、違反すれば罰則などの処置がとられる可能性がありますので、注意しましょう。
必ずしなければいけないこと
1. 防火管理者・防災管理者を決めておく
防火管理者は火災時に、防災管理者は火災以外の災害時に管理上必要な業務を行う責任者です。消防署や防災協会などで講習を受け試験に合格した者だけがなれます。
2. 防災設備の設置・避難経路の確保
消火器やスプリンクラー、火災報知器などオフィスの規模などで規定数は違いますが、必ず設置しなければなりません。また、避難経路をあらかじめ確保しておくことで、災害時のパニックを防げます。
3. 防災マニュアルを作る
もし会社にいるときに地震や火災が起きたらどこへ逃げるのかなど、事前に対応を決めておきましょう。オフィスには多くの人がいるため、一度パニックになると二次災害へとつながる危険性があります。地域のハザードマップなどを利用して、いち早く安全な場所へ従業員を誘導できるようにしておきましょう。
4. 避難訓練の実施
いくら素晴らしい防災マニュアルがあったとしても、従業員に周知できていなければ意味がありませんので、定期的な避難訓練の実施はとても大切です。マニュアル上は問題ないように見えた箇所も、避難訓練で実際に動いてみると無理があるような部分も出てくるかもしれません。
準備しておいたほうがいいこと
1. ネットワーク環境の耐震設備
災害が起こった際には、ネット回線が繋がらなくなることが考えられます。その場合に備えて大切な情報は定期的にバックアップを取るようにしておくと安心です。通信が途絶えてしまった際の対応策などもあわせて考えておくと、早急な業務再開につながります。
2. 地域と連携する
従業員が会社内で何日も過ごさなければいけない状況に備えて、地域の宿泊施設などと連携して従業員の宿泊場所などを確保しておくことも大切です。地震などの場合、多くの社員が帰宅困難者になり何日も家に帰れないことが続きます。その際近くのホテルなどと連携が取れていれば、従業員の安全が確保できます。
備蓄用品を管理するスペース
備蓄用品は、災害時に備えて取り出しやすい場所に保管しておくのがおすすめです。しかし、従業員全ての備蓄用品となるとどの程度のスペースが必要なのでしょうか? 今回は、200人規模の会社の場合の最低限の備蓄用品をたとえとして計算してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
①水
取引先などたまたま会社にいた人の分など10%分を余剰として計算すると、220人分の水が必要です。1人当たり1日3L必要なので、計1980Lが3日分の備蓄量となります。
200人×10%=220人分
220人×3L×3日=1980L(3日分の必要量)
2Lペットボトルが6本入りのダンボールを用意した場合、段ボールの数は165個必要になります。大体の大きさになりますが、2Lペットボトル6本入りのダンボールの大きさは縦27cm横22cm高さ31cmです。
②主食
今回はアルファ米を準備することを想定します。水と同様、220人分だと考えると1人当たり1日3食必要なので、1980食分になります。
200人×10%=220人分
220人×3食×3日=1980食(3日分の必要量)
アルファ米50食入りのダンボールを用意したとすると、40個必要になります。大体の大きさになりますが、50食入りのダンボールの大きさは縦34cm横33cm高さ18cmです。
③毛布
毛布は普通のタイプでもいいですが、圧縮タイプのものを準備すると省スペース化を図れますので、今回はそちらで計算します。
1人1枚必要として、220枚が必要量となります。
200人×10%=220人分
220人×1枚=220枚
圧縮毛布10枚入りのダンボールを用意したとすると、22個必要になります。
大体の大きさになりますが、10枚入りのダンボールの大きさは縦43cm横31cm高さ22cmです。
220人・3日分の水、主食、毛布を合わせて保管しておくには、縦100cm横366cm高さ150cmのスペースが必要になります。
このように最低限の備蓄用品を準備するだけでも、かなりのスペースが必要になりますし、他にもあったら便利な用品なども考えると、さらに多くの場所を用意しなければなりません。
会社によっては1か所に備蓄用品を集めるのではなく、フロアごとに必要なものを分散して備蓄しているところもあります。
備蓄用品をどのように保管しておくのかは設計上の問題や、災害時に取り出しやすいかなどさまざまな要素を鑑みて、準備しておくことが大切です。
まとめ
災害対策はつい後回しにしがちですが、いつ起こるか誰にもわかりません。企業としての責務をきちんと果たすためにも、早めの対策をおすすめします。
ミライズワークスでは膨大な備蓄用品の保管スペースのご相談も含めて、会社様それぞれに合ったオフィスの防災をご提案いたします。
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