オフィスの天井の種類

オフィスの天井は大きく分けると3つに区別されますが、システム天井は更に2つに分けることが出来るため全部で4種類あります。

在来工法天井(ざいらいこうほうてんじょう)

在来工法天井とは、軽量鉄骨などの天井の下地材の上に岩綿吸音板や石膏ボードを施工した吊り天井のことをいいます。オフィスだけではなく、学校や病院などの公共施設や店舗の天井にも多く採用されている工法です。

システム天井

システム天井は、フレームの形状によって「ライン天井」と「グリッド天井」の2種類があります。近年多くのオフィスで採用されている天井で、フレームに岩綿吸音板などの仕上げ材と照明や空調などの天井設備をはめ込んでいく工法になります。

ライン天井

ライン天井は照明などの天井設備と天井仕上げ材が一体化している天井になります。天井を見上げると設備がライン上にきれいに並んでいるのが特徴です。

グリッド天井

グリッド天井は格子状に組まれたフレームの下地材にグリッド単位で仕上げ材や照明などの天井設備を配置した天井になります。

スケルトン天井

スケルトン天井は、最近多くのオフィスで採用され始めている天井で、天井の仕上げが一切ない天井です。フロアの天井高さが高くなり、普段見えていない天井裏の梁や空調などの配管が見えるのが特徴です。

天井の種類別メリット・デメリット

今回紹介した4種類の天井には、それぞれメリット・デメリットがあるので解説していきます。

在来工法天井(ざいらいこうほうてんじょう)

【メリット】

・材料費が抑えられ安価で施工が可能
非常に多く採用されている一般的な天井のため、材料となる資材も多く流通していますので、費用が安く抑えられます。

・天井設備の配置位置が自由
システム天井と比較すると、ライトや空調設備の位置の自由度が高い特徴があります。

・仕上げ材のバリエーションが豊富
不燃クロスや塗装など仕上げを変更することも容易にできるのでデザインの幅が広がります。仕上げ材によっては、吸音性や断熱性を高めることも可能です。

【デメリット】

・天井設備の移設が難しい
仕上げ材と天井設備が一体で施工されているので、間仕切りの移動などで、天井設備の移設が必要になった場合、大掛かりな工事となる可能性が高くなります。

システム天井(ライン天井)

【メリット】

・執務室が均一の明るさに
ライン状に均等に照明が配置されるため、執務室全体を均一な明るさに確保できるので、席による光環境の優劣がなくなります。

・比較的安価で施工が可能
シンプルな構成で材料費をある程度抑えることができるので、比較的安価に施工ができます。

・レイアウト変更は比較的容易に対応可能
在来工法天井に比べると、天井設備の移設も容易です。レイアウト変更などで、移設が必要となった場合にも対応しやすくなります。

【デメリット】

・照明の向きの変更が難しい
ラインの方向が下地材で決まっているので、照明の向きを変えることが基本的に出来ません。ラインの向きと違う照明が必要な場合は、別途照明設備を追加する必要があります。

・遮音性能が低下する可能性がある
空調設備がラインに沿ってスリット状に設置されているため、ラインをまたぐ間仕切り壁を設置する場合は、遮音性能が低下する可能性があります。

・縦揺れに弱い
様々な天井設備が一体化されていることから縦揺れに弱く、大きな地震の際に他の天井に比べて天井パネルが落下する可能性があるので、耐震対策が必要になります。

システム天井(グリッド天井)

【メリット】

・天井設備の移設が容易
グリッド天井は、名称の通り照明や空調などの天井設備もグリッド単位で完結しています。グリッド毎に取り外しが可能なため、メンテナンスやレイアウトの変更が容易に可能になります。また、パネルを変えるだけで、天井のデザインを簡単に変えることができるのもメリットのひとつです。

・あらゆるところが点検口に
簡単に天井パネルを取り外せるので、別途点検口を設けなくても点検が簡単にできるようになります。

【デメリット】

・在来工法やライン天井に比べると割高
下地となるフレームやパネルなどの材料費が、在来工法天井やライン天井にくらべ高く、割高になってしまいます。

・縦揺れにやや弱い
ライン天井ほどではありませんが、仕上げ材をビス等で固定しているわけではないので、地震の際にパネルがフレームから外れ落下する危険性が若干あります。

スケルトン天井

【メリット】

・デザイン性の高い空間
天井裏にある配管や配線が、デザイン要素のひとつとなり、独特の雰囲気を持つオフィス空間を創出できます。

・開放感のある空間
天井の仕上げ材がないことで天井高が確保され、視覚的に広々とした開放感のあるオフィスを実現できます。

【デメリット】

・天井裏の設備整備が必要
新築や元々スケルトン天井を採用していた物件では問題が少ないですが、築年数が経った物件では天井裏の配線や配管が整理されていないことが多くあります。その場合、美観を保つために配線や配管を整える必要があり、追加のコストが発生します。

・吸音性と空調効率の課題
天井の仕上げ材がないため、吸音性が低下し、空調効率が悪化する可能性があります。これらの問題に対しては、適切な対策を講じる必要があります。

天井工事を計画する際の注意点

天井裏の設備や構造に要注意

天井設備は、照明やエアコンだけではなく消防法にも関係する、各種感知器などの設備があります。間仕切り壁の位置や仕様によっては、移設や増設が必要になるなどオフィスづくりにおいて非常に重要なポイントです。基本的に天井設備を極力移設しないでできるように、間仕切り壁の位置を調整したり、ランマオープンの仕様に変更したり検討していきますが、どうしても移設をしたり空調を分岐しなくてはならないケースもあります。その場合、天井裏に小梁や配管が通っていて移設や分岐が難しいケースもあるので、専門業者と相談しながら進めることをおすすめします。

間仕切り壁と天井設備の収まりにも注意

スケルトン天井で間仕切り壁を立てる場合は、天井の設備だけでなく、配管や配線にも要注意です。壁と配管が直角に交差する場合は、壁に穴を開けて配管を通すことになりますが、配管の真下に水平に建てようとすると天井との固定ができなくなるので、壁の位置をずらす必要が生じてしまいます。スケルトン天井は照明や空調だけでなく、配線や配管1本にいたるまで見えている設備はすべて把握をしたうえで、間仕切り壁の配置を計画しましょう。

排煙設備にも注意

排煙設備は建築基準法、消防法により設置基準が設けられています。
一般的な天井からスケルトン天井にした場合は、排煙についても考え方が変わる場合もあるので専門業者に確認しながら計画をおこなう必要があります。

スケルトン天井のオフィス施工事例

株式会社ミライズワークス 東京オフィス

弊社ミライズワークスの東京オフィスは、システム天井のグリッド天井の物件です。
天井裏の配管や配線もきれいに整えられていたので、一部のパネルを抜いてスケルトン天井のデザインにしました。
グリッド天井のパネルを外しただけなので、大がかりな工事にはならずに簡易的な作業で部分的にシステム天井からスケルトン天井に変更しています。
移転する際の原状回復工事も、取り外したパネルを戻すだけなので、原状回復の費用を抑えることが可能です。

グリッド天井のメリットの1つとしてパネル単位で施工が可能です。
一部のパネルを塗装することでオフィスのデザイン性を高めています。パネルを取り外して塗装を施したあとパネルを戻すだけなので、比較的軽度な作業で雰囲気を大きく変化させることが可能です。原状回復時には本来の色に戻す必要があるので若干費用はかかりますが、デザイン性の高いオフィスづくりには有効的な内装工事の1つです。

株式会社CEホールディングス 様

レイアウト変更にともなう内装工事を行なった際に、在来工法天井からスケルトン天井へとデザインを変更しました。
天井の仕上げ材を取り除いてスケルトン天井にするだけではなく、さらに明るさと開放感を演出する為にスカイブルーの塗装も施しています。
自社ビルということもあり、原状回復工事を気にせずに大胆なデザインを行なうことが出来ました。
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まとめ:オフィスの天井選びで空間の可能性を最大化

オフィスの天井は、単なる上部の仕上げではなく、空間全体の雰囲気や機能性を左右する重要な要素です。本コラムで紹介した4種類の天井—在来工法天井、ライン天井、グリッド天井、スケルトン天井—それぞれに特徴があり、適材適所で選択することが大切です。
在来工法天井は柔軟性とコスト効率に優れ、システム天井(ライン・グリッド)は美観と機能性のバランスが取れています。近年注目を集めるスケルトン天井は、開放感とユニークな空間演出を可能にします。

天井選びの際は、以下のポイントを押さえましょう

・オフィスの用途と将来的な変更の可能性
・予算と維持管理のしやすさ
・デザイン性と従業員の快適性
・建築基準法や消防法などの法的要件

最適な天井を選ぶことで、生産性の向上、従業員の満足度アップ、そして企業イメージの向上にもつながります。ただし、天井工事には専門的な知識と技術が必要です。計画段階から専門家に相談し、安全で機能的、そして魅力的なオフィス空間の創出を目指しましょう。
天井は見上げれば必ず目に入る存在です。毎日過ごすオフィス空間だからこそ、こだわりを持って選択し、理想的な職場環境を作り上げていきましょう。