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オフィスで集中できる空間を作るための大切な「ABW」という考え方
仕事をしていて、こんな経験はありませんでしょうか?
「いつもの自分の席では仕事が全く進まなかったのに、休日の外の喫茶店でやったら10倍くらいの速さで片付いた」
「出張などで別の支社などに行って仕事をしたらすごくはかどった」
「人が全くいないところでは仕事がはかどらなかったのに、少し周りに人がいる空間ではサボれない感じがしてはかどった」
など・・
仕事がはかどる、集中できる条件や状況は人それぞれですし、「集中できる環境とは何か?」という問いに対して、なかなか一つの正解が出る話ではありませんが、オフィスの環境づくりで、「社員が集中できる環境を作ること」は、生産性や業績にダイレクトにつながる、非常に大切な経営課題の一つです。この記事では、オフィスづくりにおいて、集中できる環境づくり、そしてそれに必要なソフト面での考え方などを考察します。
集中できる環境づくりを考えるのはいつのタイミングがいいか?
オフィスで社員が集中できる環境をつくるために動くタイミングは、「オフィス移転時」がいいでしょう。
なぜなら、オフィスの移転時なら、一からオフィス空間を設計することができて、その時の経営課題にうまく合わせることができるからです。
オフィスのコミュニケーションの課題には2つの「方向性」がある
「仕事に集中できる」=「静かである」といったことも会社経営・オフィスの課題ですが、オフィスにはもう一つの大きな課題があります。それが、「業務に必要なコミュニケーションが円滑にとれること」です。
チャットなどのツールの発展で、会社でのコミュニケーションの在り方は多様化しました。とはいっても、ちょっとした目線合わせのコミュニケーションならば、圧倒的に口頭のコミュニケーションのほうが早くて情報量が多いです。
オフィスの課題は、このちょっとした口頭のコミュニケーションが如何にスムーズにとれるか、ということもクリアしなければいけません。
同じオフィスの中で、この「静かに作業に集中して生産性を高める」という課題と、「コミュニケーションを円滑にして業務のプレゼンスを高める」ということを同時並行で両立させなければなりません。
ABWとは?ヨーロッパでは当たり前の考え方
このように、オフィスがいろいろな用途の空間を作ってあげることで、自分の一番集中できる環境を選ぶことができる、そのような働き方を「ABW(アカウント・ベースド・ワーキング)」といいます。
ABWは元々オランダから始まったワークスタイルで、外資系企業で採用するケースが多いです。ノートパソコン一つ持って、働く人がいまやるべき仕事に対して、いつ・どの場所でやるのが最も効率がいいかを自分で決めることができる、という考え方です。
上記の例の場合だと、社内にいろいろな用途に空間を作っておいて、自分の集中に合うところを自分で選ぶ、といった感じでしたが、ABWの本来的な意味は、オフィスにもとらわれず、働く場所・働く時間も自由に選べる、というところに特徴があります。
我が国のオフィスでもそのような「サードプレイス」的な空間を敢えて作ることによって、「社内ABW」的な働き方に対応している会社がどんどん増えてきています。
オフィス内の集中を高める作り方
それでは、実際にオフィス移転を企画するときにオフィスの設計としてどういう点に留意すればよいでしょうか?
「集中できる空間をつくる」という話でパッとおもいつきがちなのが、個別指導塾のような「一人一人が壁で仕切られたブースを作る」といったものではないでしょうか?確かにこちらのような空間も集中ができる、という意見がありますが、「壁に仕切られているのが逆に落ち着かない」という意見もあります。
例えば筆者である私は、「静かでありながら、作業をやっている自分をある程度他人に見られている」という環境のほうが集中できたりします。人間はどこかに、見られていることで社会的役割を演じようとする、という側面があり、そのような特性を考えると、「静かさはキープしつつ、誰かに見られている」という環境も、壁付きのブースと同時に作る必要があります。
ハイフォーカス・ローフォーカスをゾーニングする
ハイフォーカスともいえる、高い集中力が要求される仕事をする社員のための場所と、ローフォーカスともいえる、集中力よりもネットワーク能力やコミュニケーションが必要な仕事をする社員のための場所を両方ゾーニングして設計し、そのゾーニングに合ったように業務も運用するのが大切になってきます。オフィス移転によってハード面だけ整えるのではなく、社員がその空間の意味を理解し、それを有効に活用するための「正しい運用」ができなければ、まったく設計で思い描いていたオフィスにはならない可能性が高いです。「実際の運用ルール」も一緒に必ず設計しましょう。
大切なのは「選択肢があること」
同じ会社の社員の中でも、壁付きの小さなブースのほうが集中できる、という社員と、オープンな空間で音は静かなところのほうが集中できるという社員がいます。会社がオフィスづくりでやるべきなのは、前者も後者も集中できる環境を用意し、本人がそれを選べる、という運用になっていることです。
自分の集中できる環境を選べる、ということが、オフィスの閉塞感を打ち破り、誰もが働きやすいオフィスとして、経営課題を解決できるのです。
オフィス移転での集中できるゾーニング設計やそれにまつわる働き方のルール策定など
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