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オフィスの天井高とは?
「天井高」は「てんじょうだか」と読み、床から天井までの高さを表します。
実際にオフィスで見えている部分の範囲を指します。
一般的なオフィスビルでは、構造躯体の上に仕上材が施されているため、床と天井は二重構造になっているのが一般的です。
床下にはコンセントやLAN配線、天井裏にはエアコンダクトや各種設備配線などが収められていますが、これらの設備を隠蔽することで、床面や天井面を平坦で使いやすい空間として確保することができます。
なお、オフィス物件の図面や資料には「階高」という記載を目にすることがありますが、これは下階の床から上階の床までの高さを示すもので、実際の使用可能な空間の高さとは異なります。
物件を選ぶ際は、「階高」ではなく「天井高」を意識することが大切です。
一般的な天井高とは
オフィスの天井高は、一般的に2.7m程度が標準とされています。
ただし、オフィスビルによって実際の天井高は様々で、2.4m程度の物件から3.0m以上の開放的な空間まで幅広く存在します。
同一のオフィスビル内でも、以下の要因により天井高が変わることがあります。
- 構造上必要な大梁の位置
- フロアの階数による違い
- 設備配管の配置状況
- 用途による設計上の配慮
なお、建築基準法では居室の天井高について、平均2.1m以上という下限が定められています。これは居住環境の最低基準を定めたものですが、実際のオフィスビルでは、執務環境の快適性を考慮して、この基準を大きく上回る天井高が確保されるのが一般的です。
オフィスビルの天井高は、人々が快適に業務を行えるよう、適切な空間容積や空調効率、照明効果なども考慮して設計されています。
天井高による感覚的・設備的な違い
天井高の高低差による違いは、デザイン性だけではなく「感覚的な違い」や「設備的な違い」があります。
ここではその違いについて詳しく解説していきます。
天井高による感覚的な違いについて
天井高が高い方が、縦への広がりを感じることができるため、同じ床面積でも空間を広く感じることができます。
特にガラス窓側では、高さによる視覚的な開放感をより感じることが出来るでしょう。
その他にも、パーテーションやオフィス家具を配置した際に生じる圧迫感も天井までの高さがあることで、緩和されるため天井高による違いを感じることが出来ます。
個人差はありますが、天井高が高い方が圧迫感が緩和されるためストレスを感じにくい傾向といえます。
しかしオフィスは座って過ごす時間が長いため、天井の高さによる影響は他の要因と比べると僅かなものだと言えるのでそれほど過敏になることもないでしょう。
天井高による設備的な違いについて
天井が高くなると、天井に設置された照明や空調などの設備との距離が長くなります。
一般的に、暖かい空気は部屋の上部に溜まり、冷たい空気は下部に向かいます。天井高の高さでオフィスを比べると、やはり天井高が高い方が空間が広くなるため、空調を利用しても室内が快適な温度になるまでには時間が必要になると考えられます。
また照明に関しても、天井高が高くなるとデスクまでの距離が遠くなるので、届く光の量は少なくなります。オフィスビルは、もともと明るさも考慮されて照明が設置されていますが、パーテーションやオフィス家具を配置することで作業スペースが暗くなってしまわないように計画する必要があります。
天井高とオフィス家具や照明器具の関係
天井高とオフィス家具や照明器具はオフィス空間作りにおいて密接な関係があります。
それぞれのポイントについて詳しく見ていきましょう。
天井高とオフィス家具
オフィス空間における家具選びとレイアウトは、快適な職場環境を作る上で重要な要素です。特に天井高との関係性に注目する必要があります。
天井高の低いオフィスでは、背の高いオフィス家具を多く配置すると空間に圧迫感が生まれ、デザイン性も損なわれてしまいます。このような環境では、背の低いオフィス家具を採用することで、視界を遮ることなく空間の広がりを感じられます。また、開放的な雰囲気を演出できる利点があります。さらに、見通しが良くなることでコミュニケーションが取りやすい環境を作ることも可能です。
一方で、限られた空間で効率的に収納スペースを確保するためには、ハイキャビネットが必要となる場合もあります。その際は、壁面に沿って整然と配置し、色調を壁面と統一することで存在感を抑えるなどの工夫が重要です。また、動線を考慮したレイアウトを心がけ、必要最小限の数量に抑えることで、圧迫感のない空間作りが可能となります。
このように、オフィス家具の選定とレイアウトは、天井高や空間の特性を十分に考慮した上で計画することが大切です。適切な家具選びとレイアウトによって、機能的かつ快適なワークスペースを実現することができます。
天井高と照明器具
デザイン性を重視したオフィスづくりを行いたい場合は、天井高が高いオフィスが最適といえます。その理由として、以下の2つのポイントが挙げられます。
1つ目は、壁面の活用です。天井高が高いとその分壁が広くなるので、壁面を照らすウォールウォッシャー照明やスポットライトなど、空間やディスプレイを演出する照明器具で、魅力的な空間づくりを行えます。これにより、オフィス全体に奥行きと立体感を持たせることができます。
2つ目は、装飾的な照明の設置が可能になることです。ペンダントライトやシャンデリアのような、天井から吊り下げるタイプの照明器具は、天井の高さを問わずデザインに合わせて設置することが可能です。しかし、大型で優雅な見た目の照明器具を利用する場合は、天井高が低いと空間を圧迫してしまいます。そのため、このような装飾的な照明を効果的に活用するためには、十分な天井高を確保することが重要です。
このように、天井高の確保は、照明デザインの自由度を高め、より魅力的なオフィス空間の創出につながります。照明計画を立てる際は、天井高を十分に考慮することで、機能性とデザイン性の両立が可能となります。
天井高を活かした施工事例
天井高を有効的に活用して段差をつけた個性的な空間をデザインしました。
多目的な使い方を想定した「セミナールーム」は、人が集まり段差に座りながら作業をすることも想定してコンセントを設置しています。おしゃれさだけではなく、実用性も考えたデザインです。
執務室の一画にも天井高を有効に活用した段差をつけたデザインを採用しました。
パーテーションを使用せずに高低差で、空間の切り分けを行っています。スペースが無駄にならないように下側の空間には、リフレッシュスペースとしても利用が可能なソファ席を配置しています。
まとめ
天井高は、オフィス空間の快適性やデザイン性に大きな影響を与える要素です。オフィス移転や新規開設の際は、天井高を考慮した上で、家具や照明器具を選ぶことが重要です。快適で機能的、そして魅力的なオフィス空間を実現するために、天井高の重要性を再認識しましょう。